有名なところだと「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」でしょうか。
小説は竜頭蛇尾ともいいます。
始まりが良ければ読んで貰える!
ノーベル賞作家である川端康成の美しい出だし。
トンネルがまるで異世界へのトンネルのような雰囲気を醸し出す、美しい文章。
夏目漱石の「吾輩は猫である」が笑いを生む一行目だとしたら、川端康成の「雪国」は読者を唸らせる程の日本語の美しさを味わわせてくれます。
まるで自分が見ているかのような錯覚に陥る小説。
小説は一行目だけでは評価できませんが、一行目から美しい文章だと期待しちゃいますよね。
一行目が素晴らしくても、中身はイマイチという場合もありますが。
超素晴らしい一行目だけを読めれば満足してしまうかも。
美しい文章に溜め息をもらしてください。
美しいと思う小説の一行目
スポンサーリンク■目次
▶美しいと思う小説の一行目▶美しい一行目だけ
▶まとめ
美しいと思う小説の一行目
美しいと思うか思わないかは個人個人の感想になります。
「どこが美しいの?」そう思う文章もあるでしょう。
順不同。
桜庭 一樹 「私の男」
直木賞をとった小説です。
映画化もされたかな。
最初の一行目が大絶賛されているんですよ、これ。
盗んだ傘をさす描写だけで人柄が分かるから。
私は読んでいて気持ちが悪くなりました。
ゾッとさせてくれる小説。
グロくてエグい小説と書いたらファンに怒られるかな。
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長野 まゆみ「少年アリス」
美しいっ!
睡蓮の開く音ってどんな音なのかを想像させてくれます。
そんな音が聞こえる月夜に憧れる一行目。
長野まゆみさんの小説は幻想的で比喩が綺麗です。
「少年アリス」は20年経って改訂されましたが、改訂前と後を比べてみるのも楽しい。
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伊坂 幸太郎 「重力ピエロ」
直木賞候補になった小説、映画化もされました。
この冒頭は、やはり評価が高いです。
何故2階から「春」が?
読んだ人なら分かる「春」
伊坂ワールドは不思議な小説が多いですが、この「重力ピエロ」はマジ。
ジーンとさせてくれて、伊坂ワールド独特なユーモアも散らばっています。
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室井 祐月「熱帯植物園」
よくテレビのコメンテーターで見かける室井祐月さんの小説。
室井祐月さんのイメージが変わります。
美しい出だしととらえるか、下品だととらえるか。
ハードな内容です。
気持ちが悪くなる人もいるでしょうが、馬鹿にできない煌めきがあるの。
私は嫌いじゃない。
冒頭でギョッとなり、読んでギョギョッとなり、「なるほど」みたいな。
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東野 圭吾「秘密」
広末涼子主演で映画化されましたね。
何があったのかと気になる冒頭。
東野圭吾作品の中でも1番人気(容疑者Xの献身と並ぶ)の「秘密」
美しい物語に涙してしまいます。
読み終えてから一行目の美しさを実感するかも。
題名が深くて切ない。
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森 博嗣「すべてがFになる」
これも映画化やドラマ化しましたね。
冒頭がこんなに美しかったっけ?
何せ犯人は誰かとハラハラする物語ですから。
森 博嗣さんの小説はとにかく数字が散らばる。
題名からして気になります。
二進法やら七進法やら、頭がこんがらがりますが天才が何人も出てくる小説です。
「一体どうなっているの?」先が気になって難解さを上回る感じ。
伏線と数字のトリック小説は見事です。
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恩田 陸「ユージニア」
美しい出だしですね。
日本推理作家協会賞長編賞受賞作品です。
難しいミステリー。
ファンタジーと呼んだ方がいいかも。
インタビュー形式の小説です、恩田陸ならではの書き方かな。
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飯島 愛「Platonic sex」
やはり映画化ドラマ化されました。
見事な書き出しだわ。
故飯島愛さんの自叙伝的小説。
出だし一行目もインパクトがありますね。
読んだのはかなり前ですが、あまりに衝撃的内容だったので今でもはっきりと覚えています。
彼氏が淋病だったとか、いくらでAVに出演したのかとか。
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森 絵都 「カラフル」
やはり映画化されています。
第46回産経児童出版文化賞受賞作品。
大人向けとはいえないファンタジーかな。
癒しを求めて読むのも有りですが、わりとベタな内容。
「カラフル」のタイトルがキーワードになっています。
この一行目は素敵。
梶井 基次郎 「桜の樹の下には」
有名な冒頭です。
この方の小説から「桜の木の下には屍体が埋まっている」と言われるようになりました。
日本人にとって大切な桜の木。
その桜の木の下に屍体があるなんて衝撃的!
桜というだけでも美しいのに屍体を絡ませるあたりが、素晴らしい感性です。
渡辺 淳一 「化粧」
映画化もドラマ化もされました。
美しいのは一行目だけではなく、全ての文章と映画の女優さん達も何もかも美しい。
渡辺淳一さんの小説のほとんどが一行目から美しいです。
何故こんなに綺麗な文章が書けるのかと、読む度にため息が漏れる渡辺文学。
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泉 鏡花 「縷紅新草」
1939年に発表「縷紅新草」(るこうしんそう)は泉鏡花の最後の短編小説です。
泉鏡花といえば言葉にうるさく潔癖症だったことが有名ですね。
文字にはパワーがあると言っていました。
三島由紀夫が絶賛「神仙の域に達している 」と。
青空文庫で無料で読めます。
まるで詩のような世界を覗いてみて。
太宰 治 「斜陽」
文豪太宰治の売れた小説です。
当時1冊70円で1万部超えのベストセラー。
1947年に刊行されました。
幽かな(かすかな)という響きが美しい。
このお母様がとにかく上品で綺麗なのですよ。
没落していく上流階級のお母様は何をしても上品。
没落していく様を「斜陽」として題名にしています。
こちらも青空文庫で無料で読めます。
泉鏡花と違ってスイスイ読めますよ。
美しい一行目
すみません、次からは読んでいません。
羅列になります。
江國香織 「ウエハースの椅子」
島田 雅彦 「君が壊れてしまう前に 」
羽田あい・月城ルネ・星崎アンリ「今建設業で何が起こっているのか」
誉田 哲也 「ストロベリーナイト」
あ、これは読みました。
超グロい描写が多いです。
悪夢にうなされそうな衝撃的な小説です。
よしもと ばなな「はつ恋」
伊勢華子 「せかいでいちばん美しいもの」
まとめ
まだまだ沢山ありますよね。
伊坂幸太郎も渡辺淳一も川端康成も、他の小説もエントリーさせたかったわ。
インパクトじゃなくて美しさ重視です。
二行目が美しいという小説もありますよね。
けれど一行目から惹き込まれる小説って素敵。
しかし!
小説は一行目だけ読むものではありません。
1番のオススメは「斜陽」かな。
美しい一行目、美しいお母様、美しい文章。
でも「秘密」は本当にラストまで読んで欲しい小説です。
もう、もう、切な過ぎて震えるから。
ああ、美しい文章を書きたい。
それなのに「ヤバい」とか「超」とかを乱発している私はなんなのでしょう。
いつか美しい記事を書きますから。
オホホホホ
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