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【江戸時代】お江戸吉原はブラック企業 社訓13条

雇用制度が問題になっていますが、休みが無いとか労働時間が長いとか給料が安いとか、それは江戸時代の吉原に働いていた女性の酷さに比べればマシなんです。
比べること自体が間違いですが、昔のブラック企業の事を知るというのも大事。
吉原のお店の社訓があまりにも酷いので書いちゃいます。
あまりの酷さに目眩がして、これはジョークなんじゃないかと思った美女(みめい)でございます。
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休みは年に2日

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■目次

 ▶吉原社訓13条
 ▶吉原女性の休み
 ▶吉原女性の借金
 ▶まとめ
 

吉原社訓13条

江戸時代、吉原に働く女性は最初にお給料を貰っていました。
前払い制が普通。
だいたい借金のかたで農村などの娘、旦那の借金のかたの妻、騙されてきた娘とか。

先にお給料を貰っているから、働いている間は給料無しでございます。
休みも年に2日でございます。
いくらの借金なのか、休みたいときはどうするのかは後で説明しますね。

働くお店には社訓というか、掟があるんです。
これを説明していきます。

1条 お客様への務めは嘘を第1として、間違っても誠の心を持ってはならない!

要するに客に惚れるな!ということです。

2条 年季が明けるまでは何よりも店主のために稼ぐこと!
店はびた一文援助しない!

もう給料は払ってあるんだから、店主のために年季が明けるまで稼がなければならないということ。
お金は絶対に援助しませんと書いてあります。

3条 衣類や道具やかんざしなどは自分で揃えるように。買うお金が無いなら客にねだれ!
みすぼらしい姿をせず、借金をしてでも綺麗にせよ!

借金が増えれば年季明けがますます遠くなりますから。
借金をさせて、もっともっと働かせようということですね。

4条 上質な着物を着なさい。粗末な身なりでは店の評判も悪くなる。恥を知りなさい。

お店の評判のために、借金してでも着物を作れということですね。

5条 出来るだけ華美に部屋の畳を敷き、壁の上塗りも自分でしなさい。座敷代と部屋代は滞納せず店主に支払うこと!

自前で部屋を綺麗にコーディネートしろってことです。
座敷代と部屋代まで徴収されるんですね。

6条 客には大切に思っているようにもてなして夢中にさせよ。そして必要な物をねだるのが作法である。
あまりガツガツすると客が逃げるから欲望を表に出さず搾り取れ!
客が破産しても気にしないこと。非常が第一。
情があったり涙もろき義かたく致すまじき事!

客には情無用ということ。
非常になれと書いてあります(笑)

7条 極上の美男や遊び上手な粋人でもほれぼれする心意気の客でも、惚れてはならない。惚れてはならない。絶対!

どんなイケメンの客でも、恋しちゃいけないんですね。
ある意味1番辛いかも。

8条 客がどんな醜男でも年寄りでも病気持ちでも惚れたふりをすること。嫌な顔をするのはとんでもない作法である!

お客様を選り好みしちゃいけないんですね。

9条 店のためにならぬ客は早々に愛想尽かしをして二度と来ないようにすべし!
脱走くわだて、心中くわだて、金離れの悪い客、金にならない客は冷たくあしらえ!

店のためにならないお客様はいらないんですね。

10条 自分を信じて通ってくる客を見付けたら食い物にせよ。誠心誠意貢がせることが作法である!

理想的なお客様から搾り取りなさいと書いてあります。

11条 店は最低限な食事しか出さないから、客と食事をして食べなさい。
ただし、客が余した酒を飲むのは厳禁!

食事もお客様にたかれということです。

12条 病気になってもなるべく無理をして客を取るように。病気になっても看病無しで食事も最低限のままだが、不平不満を言わぬこと。
大病が命にかかわることなら暇をやる!

酷い!
病気でも無理しろとか、余命わずかならクビとか。

13条 年季が明けても借金は一切肩代わりしない!
借金は容赦なく取り立てる!

年季はだいたい10年です。
着物を作ったり家具を揃えたりしていると、借金は全然減らなかったとか・・・・・・


全ての吉原の店にあった掟ではありませんが、どこもだいたい同じような感じでした。

なんてセコい掟なんでしょう。
現代なら考えられませんね。

それでは、休みが無い吉原の女性はどうやって休んでいたのか?

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吉原女性の休み

休日が年に2日しかありません。
たとえ休みの日でも吉原から出られません。(逃亡防止の為に大門からは出して貰えない)
ほぼ毎日働かなければならないんですね。

これは吉原だけの話では無いんですよ。
大工や商店もそう。
正月と節句だけしか休まずに働いていました。

外で仕事をする出職(でしょく)の人は雨の日が休みでしたが。
吉原では雨も関係ないので、基本毎日仕事です。

でも、女性には月の触りがあります。
そういう時は2日だけ休ませて貰えますが、それ以上は無理でした。

じゃあどうしていたのか?
詳しくは書けませんが(笑)、上げ底と素又で凌いでいたようです。

素又にかんしてはこちらをどうぞ。
素股 - Wikipedia

上げ底にかんしては、軽く説明させて頂きます。
今で言う「ティッシュ」をですね、何回も折って詰めるんですよ。
(どこに詰めるか聞かないで)
要するに、栓をするような物。

後は気合いと股に力を入れて、血を止めていたとも伝えられています。

月の触りはこうして、いなしていました。
でも、休みたくなることってあるでしょ?
秘密の恋人に会うとか具合が悪いときには休みたいものです。

そういう時は、自分で自分を買うんです。
また借金が増えてしまいますが、休む方法はこれしかありません。
それでも簡単には休ませてくれませんでした。

また、お客様がつかずにお茶引きをしている女性も、自分で自分を買うように店から指示されます。

何をするにもお金がかかる吉原。
働く女性の借金はいったいいくらなんでしょう。
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吉原女性の借金

吉原で働く女性がいくら前借りをしているのか?
それは容姿や芸の出来などで人それぞれ。
江戸時代も長いし、相場も変わります。

吉原「抱え帳」に記載されていたものを見てみましょう。

キン 12歳 年季15年 前借13両
せい 11歳 年季17年 前借14両
たま 13歳 年季14年 前借 8両
いち 14歳 年季13年 前借 10両

農家の娘がこれ位、武家の娘などはもう少し高かったようです。
客をとってから年季が始まるので、15歳以下は年季に入りません。

この前借りの他に衣装代、部屋のインテリア代、装身具、化粧品代などなどで借金は増えるばかり。
年季が明けても借金は減らず、そのまま吉原に残る女性が多かったんです。

吉原から脱出できる方法は3つ。
年季明けに借金が返せている場合と、身請けされる場合と、死んでしまう場合。

売れっ子になって沢山ご祝儀を貰えるような女性なら、それを借金にまわして年季明けで解放されます。
また、粋な店は年季明けに借金を帳消しにしてくれました。

年季明けした女性のことが書いてある小説を読みました。
吉原裏話が切なく、男と女の業の深さとお金についてと吉原で働く男性について、知らなかったことが沢山。
お江戸吉原についての小説ならイチオシです。

手のひら、ひらひら―江戸吉原七色彩 (文春文庫)

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身請けは、お客様に年季分と借金とご祝儀を出して貰い、うまくいけば妻、それ以外は囲われ者として吉原を出て行く方法です。

そして、死んでしまえばもうそこまで。
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まとめ

酷いでしょ?
これが百年以上続いていたなんて酷過ぎます。

吉原の女性は年季明けがだいたい10年。
その間に病気になったりしたら大変ですよね。
仕事が仕事だから、変な病気と妊娠がさぞ怖かったことと思います。

仕事自体、嫌な客にも愛想をふりまいて嫌な事をしなければならないし。
辛いことこの上ないです。

ブラックの中のブラック仕事。
借金を返すためといっても、その借金のお金は親が受け取っている場合が殆どだし、理不尽です。

現代と同じなのは、借金は怖いということ。
自分の借金を子供に払わせたくないです。
借金注意!


笑えるオチをつける予定でしたが、書いているうちにどんどん話が重くなってしまいました。
時代劇を観る時など、ちょっと昔の吉原の女性のことを思って下さい。
そういう歴史があって現在に至っているんですから。


オホホホホ


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rarasongjing.hatenablog.com